「このままポスドクを続ける?それとも企業へ行く?」
任期や将来を考えたとき、そんな迷いが出てくることがあります。
でも、ポスドクから企業へ行くことは、研究者としてのキャリアを失うことではありません。
この記事では、ポスドクから転職を考えたときに整理したい5つのポイントを紹介します。
1. なぜポスドクから転職したいのか?
まず整理したいのは、
「アカデミアを離れたい理由は何?」
ということです。
たとえば、
- 任期のない仕事に就きたい
- 収入を上げたい
- 将来への不安がある
- 研究以外の仕事も経験したい
- 研究成果を社会につなげたい
- 働き方を変えたい
- 海外も含めて選択肢を広げたい
理由によって、次に探す仕事も変わります。
💭 ポスドクのモヤモヤ
アカデミアを離れたい気持ちはあるけれど、研究自体は嫌いではありません。
それなら、研究そのものを辞める必要はないかもしれません。
企業研究職へ移る。
研究に近い別職種へ進む。
専門性を使いながら違う仕事へ挑戦する。
いろいろな選択肢があります。
🌿 Marinのひとこと
「ポスドクを辞めたい?」だけではなく、**「次の環境では何を変えたい?」**まで考えてみましょう。
2. 「ポスドクしか経験がない」は弱み?
企業への転職を考えると、
「会社で働いた経験がない」
ことを不安に感じるかもしれません。
でも、ポスドクとして研究する中でも、
- 研究計画を立てる
- 仮説を検証する
- データを分析する
- 論文や情報を調査する
- 研究成果を発表する
- 国内外の研究者と協働する
- 後輩や学生を指導する
- 複数の仕事を並行して進める
といった経験を積んでいます。
問題は、これらを**「研究者にしかわからない言葉」で説明してしまうこと**です。
研究経験を企業で伝わる言葉に変える
たとえば、
「○○に関する研究を行いました」
だけでは、研究内容の説明で終わってしまいます。
そこで、
「その研究で、自分は何を考え、何を動かし、どんな問題を解決したのか?」
まで分解してみます。
研究テーマそのものではなく、
自分ができることを説明する。
この視点が、企業への転職では重要になります。
🌿 Marinのひとこと
「研究しかしていない」ではなく、**「研究を通して何ができるようになった?」**に言い換えてみてください。
3. 年齢が気になっても、先に選択肢を調べる
博士課程からポスドクへ進むと、
「もう○歳だから転職するには遅いのでは?」
と年齢が気になることがあります。
でも、年齢だけを見て、
応募する前から自分で可能性を閉じてしまう必要はありません。
企業が求める経験や条件は、職種によって違います。
だからこそ、まず実際の求人を見てみます。
- どんな経験が求められている?
- 博士号はどう評価されている?
- 自分の専門領域に近い求人はある?
- どんなスキルが足りない?
- どの経験ならアピールできそう?
こうして市場を見ることで、初めて現在地がわかります。
💭 ポスドクのモヤモヤ
自分の年齢では、もう企業就職は難しい気がします。
🌿 Marinのひとこと
不安だけで「無理」と決める前に、まず実際の求人を見てみる。自分の想像と転職市場が同じとは限りません。
4. 企業研究職だけに絞らなくてもいい
ポスドクから企業へ行くと考えると、
「企業の研究職」
だけを探してしまうことがあります。
もちろん、それも有力な選択肢です。
でも、博士や研究経験を活かせる仕事はそれだけではありません。
ライフサイエンス領域なら、
- 研究開発
- メディカル
- 事業開発
- 薬事
- 知的財産
- 新規事業
- サイエンスコミュニケーション
などもあります。
さらに、コンサルティング、教育、スタートアップなどへ視野を広げることもできます。
「自分の専門分野と完全一致する求人」だけを探さないこと。
専門知識そのものを使う仕事だけでなく、研究で身につけた思考力や分析力を使える仕事まで見ると、選択肢は増えていきます。
5. 転職を決める前から、小さく準備する
企業へ行くと決めてから動く必要はありません。
迷っている段階でも、
- 求人を読んでみる
- 興味のある職種を調べる
- 企業で働く博士人材の話を聞く
- 自分の研究経験を棚卸しする
- 職務経歴書を試しに作ってみる
- 必要なスキルを調べる
ことはできます。
情報を集めた結果、
「やっぱりアカデミアに残りたい」
と思うかもしれません。
それでもいいのです。
外の選択肢を知ったうえで残るのと、他に何があるかわからないまま残るのでは、意味が違います。
ポスドクからの転職は、研究人生の失敗ではない
長く研究を続けているほど、
「アカデミアを離れたら、これまでの努力が無駄になるのでは?」
と思うことがあります。
でも、研究環境を離れても、
博士課程やポスドクで身につけた経験までなくなるわけではありません。
🌿 Marinのひとこと
キャリアチェンジは「これまでを捨てること」ではなく、これまで身につけたものを次にどこで使うか選ぶことでもあります。
私自身、PhD取得後、製薬会社での創薬研究やHarvard Medical Schoolでの海外研究など、異なる環境を経験してきました。
環境が変わることで、初めて見える自分の強みや選択肢もあります。
迷ったら、まず3つだけ書いてみてください。
- 今の環境で変えたいもの
- 研究生活から残したいもの
- 次の3年間で得たいもの
「ポスドクを続けるか、辞めるか」だけではなく、
「自分はこれから何を大切にして働きたい?」
から考えてみましょう。
Marin Careerでは、博士・研究職を含む専門職の方に向けて、キャリアチェンジや専門性の活かし方について発信しています。
「このままでいい?」から、自分らしい次のキャリアへ。
博士号取得後の選択肢は、思っているより広いものです。
特に今ポスドクで、「このままアカデミアに残るか、企業へ行くか」で迷っている方には、もう少し具体的にこちらの記事で書いています。
企業へ行くかどうかを考える前に、「そもそも博士号を取った後には、どんな道があるんだろう?」と一度広く見てみるのもおすすめです。
研究職だけに限らないPhDのキャリアについて、こちらで整理しています。


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