博士まで取った。
何年も研究して、専門性も身につけてきた。
周りから見れば、「やりたいことをずっと追いかけてきた人」に見えるかもしれない。
でも、
「これから何がしたいの?」
と聞かれると、答えられない。
研究を一生続けたいのかも分からない。
だからといって、他に明確にやりたい仕事があるわけでもない。
「博士まで来たのに、自分が何をしたいのかすら分からない」
そんな自分に、焦ることがあります。
でも、やりたいことが分からないからといって、これまでの選択が間違っていたわけではありません。
もしかすると今必要なのは、無理に「やりたい仕事」を見つけることではなく、
これからの人生で、何を残して、何を手放して、何を増やしたいのか
を整理することなのかもしれません。
博士まで取ったのに、やりたいことがないのはおかしい?
私は、おかしいことだとは思いません。
博士課程では、
「この実験をどうするか」
「このデータをどう解釈するか」
「どうすれば論文になるか」
「学位を取るには何が必要か」
と、目の前の問いに向き合い続けます。
一つひとつの課題をクリアしているうちに、数年が過ぎていく。
だから、いざキャリアについて考える段階になって、
「あなたは人生で何がしたいですか?」
と突然聞かれても、すぐに答えられないことがあります。
研究テーマについてなら何時間でも話せる。
でも、自分自身のことになると分からない。
そんなことがあっても不思議ではありません。
🌿 Marinのつぶやき
私自身も、博士課程の頃からずっと「明確なキャリアの正解」が見えていたわけではありません。
むしろ、その時々で目の前のことに一生懸命取り組みながら、「私はこの先どうしたいんだろう」と何度も考えてきました。
キャリアは、最初から完成した地図を持って進むものではないと思っています。
「やりたい仕事」を探すほど、分からなくなることもある
キャリアに迷うと、つい検索します。
「博士 キャリア」
「研究職 転職」
「博士 民間企業」
「研究者 キャリアチェンジ」
そして、
研究職。
開発職。
企画。
事業開発。
コンサルティング。
スタートアップ。
海外。
いろいろな職業や選択肢を見て、
「どれが私に向いているんだろう」
と考える。
でも、選択肢を知れば知るほど、逆に分からなくなることがあります。
なぜなら、
職業名を眺めても、自分が何を大切にしたいのかまでは分からないからです。
「どの仕事が正解?」
から考えるのではなく、
「私は、どんな働き方や人生をつくりたい?」
から考えた方が見えやすくなることがあります。
まず、「研究を続けたいのか分からない」を分解する
「やりたいことがない」と感じている人の中には、
研究を辞めたいわけではないけれど、このまま研究職を続けることにも迷っている人がいます。
研究そのものは好き。
でも、
「この働き方を10年後も続けたい?」
と聞かれると、分からない。
そんな状態です。
ここで、
「研究が好き」と「研究職を続けたい」を同じものにしない
ことが大切です。
研究の何が好きなのか。
研究職という働き方の何が好きなのか。
逆に、何に違和感があるのか。
ここを分けるだけでも、自分の気持ちが少し見えやすくなります。
このテーマについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
「研究が好き」なら、研究職を続けるべき?好きと仕事を分けて考えてもいい
やりたいことがないときは、4つに分けて考えてみる
「やりたい仕事は何?」
という問いに答えられないなら、無理に答えを出さなくても大丈夫です。
代わりに、今のキャリアを4つに分けてみます。
1. これからも「残したいもの」は何?
まずは、今までのキャリアの中で、
「これは次の場所にも持っていきたい」
と思うものを考えます。
例えば、
- 専門性を使うこと
- 科学に関わること
- 新しいことを学び続けること
- 英語を使うこと
- 自分で考える時間
- 優秀な人たちとの議論
- 社会に新しいものを生み出すこと
- 自分である程度仕事をコントロールできること
など。
ここでは「研究職」という職業名にこだわらなくて大丈夫です。
今までの仕事の中で、何をしている自分が好きだったか。
そこから考えます。
2. これから「手放したいもの」は何?
次は反対です。
今の働き方の中で、
「これはもう十分かもしれない」
と思うものを考えます。
例えば、
- 常に成果を出し続けなければならないプレッシャー
- 将来が見えない不安
- 長時間労働
- 勤務地を選べないこと
- 自分の生活を後回しにする働き方
- 閉じた人間関係
- 評価されるまで何年も待つこと
人によって違います。
ここで大切なのは、
嫌なものを認めることは、逃げではない
ということです。
自分に合わないものが分かることも、キャリアを考えるための大切な情報です。
3. これから「増やしたいもの」は何?
次に、
「今の人生に、もう少しあったらいいな」
と思うものを考えてみます。
例えば、
収入。
自由な時間。
人とのつながり。
海外との接点。
社会へのインパクト。
新しい挑戦。
家族との時間。
自分で意思決定できる範囲。
安心感。
刺激。
「何の仕事をしたい?」には答えられなくても、
「人生に何を増やしたい?」なら答えられることがあります。
🌿 Marinのつぶやき
キャリアを考えるとき、仕事内容だけを見ていると答えが出ないことがあります。
仕事は人生の大きな一部だけれど、人生そのものではありません。
私は「どんな仕事がしたい?」と同じくらい、「どんな毎日を送りたい?」も大切な問いだと思っています。
4. 「一度試してみたいもの」は何?
最後は、少し軽く考えます。
「一生やりたいこと」ではありません。
一度やってみたいことです。
例えば、
- 海外で働いてみたい
- 研究以外の仕事を経験してみたい
- ビジネスに近い仕事をしてみたい
- 小さく副業を試してみたい
- 違う業界の人と話してみたい
- 新しい分野を勉強してみたい
- 人に教える仕事をしてみたい
この段階では、「向いているか」まで判断しなくていい。
興味があるなら、小さく試してみる。
実際にやってみて、
「思っていたより好き」
と分かることもあれば、
「これは違った」
と分かることもあります。
どちらも前進です。
やりたいことは、「考えて見つける」だけではない
私たちは、
「自分と向き合えば、本当にやりたいことが見つかる」
と思いがちです。
もちろん、考えることは大切です。
でも、頭の中だけで考え続けても、答えが出ないことがあります。
なぜなら、まだ経験していない仕事について、
「これは私の天職だ」
と判断するのは難しいからです。
人に会う。
話を聞く。
勉強してみる。
小さなプロジェクトに参加する。
応募してみる。
違う環境を見てみる。
そうやって少し動いたあとに、
「こっちは好きかもしれない」
「これは違うな」
という感覚が生まれる。
やりたいことは、行動しながら輪郭が見えてくることもあります。
「やりたいことがない」と「私には何もない」は違う
やりたいことが分からなくなると、
「そもそも私には何ができるんだろう」
という不安まで出てくることがあります。
特に、長く研究をしてきた人ほど、
「研究しかしてこなかった」
と感じることがあります。
でも、研究経験を職業名ではなくスキルとして見てみると、
自分では当たり前だと思っていた力が、別の環境では価値になることがあります。
もし、
「やりたいこと以前に、自分に何ができるのか分からない」
と感じているなら、こちらも読んでみてください。
「研究しかしてこなかった」私に何ができる?研究職から転職するときの強みの見つけ方
博士まで来たからこそ、「正解」を選びたくなる
博士まで進んできた人は、
正解を探すことに慣れている人も多いと思います。
仮説を立てる。
情報を集める。
比較する。
考える。
できるだけ合理的に判断する。
研究では、とても大切な力です。
でもキャリアには、
「これを選べば絶対に正解」
という答えがないことがあります。
どれだけ情報を集めても、
最後は、
自分は何を大切にして生きたいのか
という問いが残ります。
そして、それは他人には決められません。
🌿 Marinのつぶやき
「間違った選択をしたくない」と思うほど、動けなくなることがあります。
でもキャリアは、正解を一度で当てる試験ではありません。
選んで、経験して、違ったらまた考える。その繰り返しでつくっていってもいいと思っています。
「次に何をしたい?」に、今すぐ答えられなくてもいい
博士まで取ったのに、やりたいことがない。
それは、
「何も考えてこなかった」
ということではありません。
これまで一生懸命走ってきたからこそ、初めて立ち止まって、
「私はこの先、どう生きたいんだろう」
と考える時期が来たのかもしれません。
だから、いきなり人生の答えを出そうとしなくても大丈夫です。
まずは、
残したいもの。
手放したいもの。
増やしたいもの。
試してみたいもの。
この4つを書き出してみる。
すると、
「やりたい職業」はまだ分からなくても、
次に進んでみたい方向
は少しずつ見えてくることがあります。
キャリアは、
「やりたいことを見つけてから動く」
だけではありません。
少し動いてみたから、やりたいことが分かる。
そんな順番でもいいのだと思います。
🌿 Marin Career Lab 公式LINE
「このままでいい?」から、自分らしいキャリアを考えるヒントや、新しい記事をLINEでもお届けしています。
もし、
「やりたいことが分からない」
「転職したいのか、今の仕事を続けたいのかも分からない」
「選択肢を調べるほど、余計に分からなくなってきた」
という状態なら、無理に答えを用意してから相談する必要はありません。
むしろ、まだ答えがない段階だからこそ、誰かと話すことで整理できることがあります。
「何に迷っているのか、自分でもよく分からない」
というところから、一緒に整理します。


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