D3なのに内定がない。「博士まで来たの、間違いだった?」と思っているあなたへ

研究者 Career & Life

D3なのに、まだ内定がない。

同期は少しずつ就職先が決まっていく。

SNSを開けば、研究も就活も順調そうな人ばかり目に入る。

💭 こんなことを考えていませんか?

みんなはもう決まっているのに、私だけ遅れている。

博士まで来たの、間違いだったのかな。

このまま就職できなかったら、どうしよう。

そんなことを検索して、このページにたどり着いたのかもしれません。

実は、私にも似た時期がありました。

博士課程の終盤、周りの進路が決まっていく中で、自分の次が見えない。

焦りました。

だからこの記事では、「博士なんだから大丈夫」と根拠なく励ますのではなく、あの頃の私自身にも伝えたかったことを書こうと思います。

D3で就職が決まらないと、焦るのは当然だった

博士課程の就活は、学部や修士の就活とは少し違います。

研究を進めなければいけない。

論文も書かなければいけない。

学位も取らなければいけない。

その横で、自分の次の居場所まで探さなければいけない。

しかも周りを見ると、少しずつ進路が決まっていきます。

「○○さん、内定決まったらしいよ」

「来年から○○に行くんだって」

そんな話を聞くたびに、自分だけ取り残されているような気持ちになる。

SNSを開けば、もっと苦しくなることもあります。

他の人の「決まった瞬間」は見えるのに、その人がそこへたどり着くまでに悩んでいた時間は見えないからです。

気がつくと、

「私はどんな仕事がしたいんだろう」

ではなく、

「とにかく私も早く決めなきゃ」

になってしまいます。

私にも、その焦りがありました。

私も「ただただ、チャンスが欲しい」と思っていた

当時の私は、教授からの推薦を受けて、就職につなげたいと思ったこともありました。

もちろん、教授から推薦を受けること自体が悪いわけではありません。

自分一人では出会えなかった場所につながることもある。

使えるチャンスがあるなら、使っていい。

今でもそう思っています。

でも、振り返ってみると、当時の私は一つ大切なことを十分に考えられていませんでした。

「そこは、本当に私が行きたい場所なのか?」

ということです。

そこへ行ったら、どんな仕事をするのか。

どんな毎日になるのか。

そこで何を身につけたいのか。

その先にどんなキャリアがあるのか。

本当に、自分が望んでいる場所なのか。

当時の私は、そこまで冷静に考える余裕がなかったと思います。

ただただ、チャンスが欲しかった。

「次が決まっていない」という状態から、早く抜け出したかったんです。

🌿 Marinのひとこと

今振り返ると、あの頃の私は「どこに行きたい?」より、「どこなら私を受け入れてくれる?」を考えていました。

就職が決まらない状態が続くと、キャリアを「選ぶ」ことよりも、「選ばれる」ことが目的になってしまうことがあります。

「行きたい会社」より「私を採ってくれる会社」を探していない?

最初は、

「私は何をしたいんだろう?」

と考えていたはずなのに、就活がうまくいかないと、問いが少しずつ変わっていきます。

「博士でも応募できる会社はどこ?」

「この専門でも採ってくれるところは?」

「教授から紹介してもらえるところなら、どこでもいいかも」

そして最後には、

「私を採ってくれるところはどこ?」

になってしまう。

私は、この変化には気をつけた方がいいと思っています。

内定が出た。

推薦してもらえた。

声をかけてもらえた。

もちろん、どれも嬉しいことです。

でも、

チャンスをもらえた場所と、自分に合う場所は、必ずしも同じではありません。

だからといって、「理想の仕事が見つかるまで待ちましょう」と言いたいわけでもありません。

生活もある。

学位取得の期限もある。

時間的な制約がある人もいる。

早く仕事を決めなければならない事情だってあります。

だから、焦って応募してもいい。

教授に相談してもいい。

推薦をお願いしてもいい。

紹介された会社の選考を受けてもいい。

たくさん応募してもいい。

チャンスは取りにいっていい。

ただ、その途中で一度だけ、自分に聞いてみてほしいんです。

💭 もし明日、その会社から内定が出たら?

「ここで働けるのが嬉しい」と思う?

それとも、

「やっと内定が出た」と安心する?

似ているようで、この2つは少し違います。

「とにかく安心したい」が答えでも、自分を責めなくて大丈夫です。

ただ、自分が今どちらなのかを知っておく。

それだけでも、内定が出た後の選択は少し変わります。

「内定がない」と「自分に価値がない」を一緒にしない

就活がうまくいかない期間が続くと、就職の結果と自分自身の価値が、頭の中でくっついてしまうことがあります。

書類が通らない。

面接で落ちる。

応募できそうな求人が少ない。

同期はもう決まっている。

そうすると、

「博士までやったのに」

「自分の研究なんて役に立たないのかも」

「そもそも私には能力がないのかも」

と考えてしまう。

🌿 Marinのひとこと

「今、内定がない」と「あなたに価値がない」は、まったく別の話です。

就職には、専門領域、募集時期、企業側のニーズ、ポジション、経験、伝え方、タイミングなど、いろいろな要素があります。

特に博士課程では、何年も一つの専門分野を深く掘ってきたからこそ、自分の価値を研究テーマだけで考えてしまいやすい。

「自分の研究テーマと一致する求人がない」

という事実が、

「自分を必要としている会社がない」

に変わってしまう。

さらに、

「私には何もない」

にまで変わってしまう。

でも、この3つは同じ意味ではありません。

「研究しかしてこなかった」は、本当?

博士課程でやってきたことを、「研究」の一言で終わらせないでください。

たとえば、

  • 大量の文献から必要な情報を探す
  • まだ答えのない問いを設定する
  • 仮説を立てる
  • 実験計画を組む
  • データを分析する
  • うまくいかない原因を考える
  • 結果を論理的に説明する
  • 英語で論文を読む・書く
  • 学会で発表する
  • 指導教員や共同研究者と調整する
  • 後輩を指導する
  • 数年単位で一つのプロジェクトを進める

人によって経験は違います。

でも、「研究しかしていない」という一言の中には、実際にはいろいろな経験が入っています。

問題は、それを研究室の外でも伝わる言葉にできているかです。

たとえば「実験ができます」だけでは、その実験を知らない人には価値が伝わりません。

でも、

何もない状態から情報を集めた。

仮説を立てた。

方法を設計した。

何度失敗しても原因を分析した。

周囲と協力しながら結果を出した。

という経験なら、見え方は変わります。

「自分には研究以外の強みがない」と感じている方は、こちらの記事で研究経験の棚卸し方法を詳しく書いています。

「研究しかしてこなかった」私に何ができる?研究職から転職するときの強みの見つけ方

博士だから、研究職に就職しなければいけない?

博士課程まで来ると、もう一つ自分を苦しくさせる言葉があります。

「ここまで研究したんだから、研究職に行かなければ」

というものです。

研究を続けたいなら、もちろん続けていい。

研究が好きで、もっと深めたいなら、その気持ちは大切にしてほしいと思います。

でも、

博士号を取ることと、その後ずっと研究職で働くことは同じではありません。

研究から少し離れた仕事。

専門知識を別の形で使う仕事。

科学と社会をつなぐ仕事。

人と関わる仕事。

違う業界。

海外。

いろいろな可能性があります。

「博士なのに研究を辞めたら、ここまでの時間が無駄になる」

その気持ちだけで選択肢を閉じているなら、一度だけ、その前提を外してみてもいいと思います。

博士号取得後にどんな選択肢があるのかは、こちらの記事でも整理しています。

博士号を取った後のキャリアは?研究職だけじゃないPhDの選択肢

内定を増やす前に、30分だけ考えてほしい3つのこと

就職が決まらないと、

「もっと応募しなきゃ」

と思います。

もちろん、応募数を増やした方がいい場合もあります。

でも、その前に30分だけ、自分の希望も整理してみてください。

立派なキャリアプランはいりません。

次の3つだけで大丈夫です。

1. 次の仕事でも、絶対に残したいものは?

研究そのもの。

科学との接点。

自分の専門性。

海外とのつながり。

収入。

安定。

自由な時間。

働く場所。

人との関わり。

新しいことに挑戦できる環境。

何でも構いません。

全部を叶える必要もありません。

まずは、

「これがなくなったら、私はたぶん後悔する」

と思うものを考えてみてください。

2. 今の環境から、何を変えたい?

次は逆です。

もう続けたくないものを考えます。

不安定な雇用。

実験中心の生活。

低い給与。

長時間労働。

狭すぎる専門領域。

人間関係。

将来の見えにくさ。

「嫌なもの」について考えることは、ネガティブな自己分析ではありません。

次の場所を選ぶための条件になります。

3. その会社から内定が出たら、本当に嬉しい?

応募している会社を、一つずつ思い浮かべてみてください。

そして、

「明日、この会社から内定の連絡が来たら、私はどう感じる?」

と考えてみます。

💭 少しだけ、自分に聞いてみる

「ここで働きたいから嬉しい」のか。

「もう就活しなくていいから嬉しい」のか。

私が欲しいのは、本当はどちらだろう?

もちろん、両方でもいいんです。

ただ、自分が何に安心して、何に惹かれているのかがわかると、会社を見る目が少し変わります。

「やりたいことがわからない」なら、無理に見つけなくていい

ここまで読んで、

「でも、そもそもやりたいことがない」

と思った人もいるかもしれません。

それも大丈夫です。

いきなり「人生をかけてやりたい仕事」を見つける必要はありません。

むしろ、

「今より、こうなったらいいな」

くらいから考えてみます。

もう少し人と関わりたい。

研究は好きだけれど、実験以外もやってみたい。

海外と関わりたい。

もっと収入を上げたい。

仕事以外の時間もほしい。

専門性を社会に近いところで使ってみたい。

その程度でも十分です。

キャリアは、最初から完成した答えを持っている人だけが作れるものではありません。

小さな違和感や興味を拾いながら、少しずつ方向を決めることもできます。

それでも、今すぐ就職先を決めなければならない人へ

ここまで読んで、

「そんなことを考えている時間がない」

と思った人もいるかもしれません。

その現実も無視できません。

だから、完璧な答えを出してから就活する必要はありません。

応募する。

教授や周囲に相談する。

紹介や推薦の機会があれば検討する。

求人を見る。

企業の人と話してみる。

そして、その横で少しずつ自分の軸も整理する。

動きながら考えてもいいんです。

最初の就職ですべてを正解にする必要もありません。

一つの会社へ入ったら、その後の人生が永久に固定されるわけでもない。

今見えている選択肢の中から一つ選び、そこで経験を積んで、また次を考えることもできます。

SNSを閉じてもいい

同期の内定報告を見るたびに苦しくなるなら、少し距離を置いてもいいと思います。

誰かの就職先が決まったことと、自分のキャリアの価値は関係ありません。

SNSには、

「内定しました」

は載ります。

でも、

「昨日まで将来が怖くて眠れなかった」

は、載らないこともあります。

他人の結果だけを見ながら、自分の途中経過と比べると苦しくなります。

キャリアは、全員が同じスタートラインから、同じ方向へ走る競争ではありません。

「博士まで来たの、間違いだった?」と思っているあなたへ

私は簡単に、

「博士まで来たんだから絶対大丈夫」

とは言いたくありません。

就活がうまくいかないこともある。

研究職以外へ進むこともある。

思っていたキャリアと違う道へ行くこともある。

でも、それは、

「博士課程へ進んだことが全部間違いだった」

という意味ではありません。

そして今、進路が決まっていないからといって、これまで積み上げてきた時間まで否定しなくていい。

私自身、焦っていたときは、

「どこへ行きたいか」

より、

「どうしたらチャンスをもらえるか」

を考えていました。

🌿 あの頃の自分に伝えるなら

チャンスは取りに行っていい。

推薦を頼ってもいい。

焦っている自分を責めなくてもいい。

でも、「私は本当はどうしたい?」まで手放さなくていい。

今すぐ人生の正解を決めなくて大丈夫です。

まずは、

「私は何を残したい?」

「何を変えたい?」

「どんな働き方なら、今より少し楽しみになりそう?」

そこからでいいと思います。

一人で考えていると、焦りばかり大きくなってしまうなら

就職が決まっていないときに、一人でキャリアを考えるのは難しいことがあります。

考えようとしても、

「でも内定がない」

「そんなことを考えている場合じゃない」

「まず就職しなきゃ」

に戻ってしまうからです。

💭 こんな状態でも相談していい?

研究を続けたいのかもわからない。

企業に行きたいけれど、何が向いているかわからない。

教授から推薦の話をもらったけれど、本当にそこへ行きたいのかわからない。

研究以外に何ができるのかわからない。

ただただ、焦っている。

もちろん、その状態からで大丈夫です。

答えを決めてから相談する必要はありません。

Marin Careerでは、これまでやってきたこと、今感じている不安、自分がこれから大切にしたいことを一緒に整理しながら、次に取れる選択肢を考えています。

私自身も博士課程で進路に焦った経験があるからこそ、「早く決めなきゃ」の裏側にある気持ちも含めて話してもらえたらと思っています。

もし今、

「とにかくチャンスが欲しい。でも、本当はどこへ行きたいのかわからない」

という状態なら、その気持ちをそのまま持ってきてください。

Marinにキャリアの悩みを相談する

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