研究がうまくいかない。「私、研究者に向いてないのかも」と自信をなくしたときに

研究 Career & Life

昨日まで元気だった細胞が、朝見たらほとんど死んでいる。

培地?

継代?

インキュベーター?

コンタミ?

思い当たるところを確認しても、原因がわからない。

もう一度やり直す。

でも、またうまくいかない。

最初は、

「何が原因だろう?」

と考えていたはずなのに。

何度も失敗が続くうちに、

「もしかして、私が下手なんじゃない?」

「私、研究に向いていないのかな」

と思い始める。

研究をしていると、そんなふうに自信をなくしてしまうことがあります。

この記事では、実験を成功させる方法ではなく、

研究がうまくいかないとき、なぜ自分自身まで否定したくなってしまうのか。

そして、そこから自分と研究の関係をどう考えたらいいのかを、一緒に整理してみたいと思います。

  1. 昨日まで元気だった細胞が、なぜか死んでいる
  2. 隣の人の実験は、なぜかうまくいっているように見える
  3. PIとのミーティングで「見せるデータがない」のが怖い
  4. 「この実験が失敗した」が「私はダメ」に変わっていない?
  5. 研究は「努力したら必ず結果が出る」仕事ではない
  6. 本当につらいのは「実験の失敗」だけ?
    1. 実験そのものがうまくいかないこと?
    2. 成果が出ないこと?
    3. 周りと比べてしまうこと?
    4. PIから評価されていない気がすること?
    5. この先もずっと結果が出なかったら、という不安?
  7. 「研究に向いていない」と思ったとき、もう一つ考えてほしいこと
  8. 逆に、「研究以外も見てみたい」と思っているなら
  9. 「研究しかしてこなかったから、他では通用しない」と思ってしまうなら
  10. 今日の実験結果だけで、自分のキャリアまで決めなくていい
  11. 研究がうまくいかないとき、自分に聞いてみたい5つのこと
    1. 1. 私は研究そのものが嫌になった?
    2. 2. 実験がうまくいった日は、今でも嬉しい?
    3. 3. 一番苦しいのは、結果が出ないこと?評価されないこと?周りとの比較?
    4. 4. 「研究者に向いていない」と思う根拠は何?
    5. 5. 研究者ではない自分を想像したとき、何が一番怖い?
  12. 「私はダメ」まで広がってしまったら
  13. 「最近、実験がうまくいかなくて」からでも話していい
    1. 関連

昨日まで元気だった細胞が、なぜか死んでいる

研究をしていると、理由のわからないことが起きます。

昨日まで問題なさそうだった細胞が、突然おかしくなる。

同じ条件でやったはずなのに、前回と結果が違う。

PCRがきれいに出ない。

Western blotのバンドが出ない。

コントロールがおかしい。

期待していた表現型が再現しない。

条件を振っても、原因がわからない。

もちろん、一つずつ可能性を潰していきます。

試薬を確認する。

プロトコルを見直す。

条件を変える。

先輩に聞く。

論文を調べる。

もう一度最初からやる。

それでも、うまくいかないことがあります。

研究なのだから、未知のことがあるのは当然です。

頭ではわかっています。

でも、それが何週間、何か月と続くと、少しずつ気持ちが変わってきます。

💭 最初は実験の問題だったはずなのに

なんでうまくいかないんだろう。

どうして私だけデータが出ないんだろう。

もしかして、基本的なことすらできていない?

私、研究者に向いていないのかな。

いつの間にか、

「実験がうまくいかない」

という話ではなくなってしまうことがあります。

隣の人の実験は、なぜかうまくいっているように見える

自分一人なら、まだ耐えられることもあります。

つらくなるのは、周りが見えるときです。

同期はきれいなデータを出している。

隣の人は論文になりそうな結果が出た。

後輩の実験は順調に進んでいる。

学会発表が決まった人もいる。

論文がアクセプトされた人もいる。

一方、自分は今日も同じ実験をやり直している。

研究室では、他の人の「成果」が見えやすいものです。

でも、

何回失敗したのか。

どれだけ条件検討したのか。

どれだけ悩んだのか。

その過程までは、意外と見えません。

だから、

他人の結果と、自分の途中経過

を比べてしまうことがあります。

🌿 Marinのつぶやき

研究室にいると、周りの人がみんな自分より優秀に見える瞬間があります。

特に自分の実験がうまくいっていないときは、なおさらです。

でも、自分には自分の失敗が全部見えている一方で、他の人について見えているのは成果の一部分だけ、ということもあります。

PIとのミーティングで「見せるデータがない」のが怖い

研究がうまくいかないと、実験以外の時間まで苦しくなることがあります。

次のラボミーティング。

PIとの進捗面談。

共同研究者とのミーティング。

「今週はどうだった?」

と聞かれる。

でも、見せられるデータがない。

また、

「条件検討中です」

「再現できなかったので、やり直しています」

と言わなければならない。

何週間も同じような説明が続くと、

「何も進んでいないと思われているんじゃないか」

「能力がないと思われているんじゃないか」

と不安になることがあります。

さらに、後輩へ実験を教える立場になっていると、

「人に教えている場合じゃない。自分だってうまくできていないのに」

と思うこともあるかもしれません。

こうなると、研究の問題だけではありません。

周囲からどう評価されているのか

が怖くなってきます。

「この実験が失敗した」が「私はダメ」に変わっていない?

ここで、一度立ち止まってみたいと思います。

起きたことは、

「今回の実験がうまくいかなかった」

です。

でも、頭の中ではこんなふうにつながっていないでしょうか。

実験がうまくいかなかった。

自分だけ結果が出ていない。

私は実験が下手だ。

私は研究ができない。

私は頭が良くない。

博士まで来たのに、この程度しかできない。

私は研究者に向いていない。

最初と最後では、かなり話が変わっています。

それでも、研究が生活の大きな部分を占めていると、この二つがくっついてしまうことがあります。

🌿 Marinのつぶやき

「この実験がうまくいかなかった」と「私は研究者としてダメ」は、本当は別の話です。

でも、自分の研究に何年も向き合っていると、その境界がわからなくなることがあります。

研究は「努力したら必ず結果が出る」仕事ではない

勉強なら、

覚える。

問題を解く。

試験を受ける。

という比較的わかりやすい評価軸があります。

でも研究は違います。

仮説が間違っていることもある。

期待した結果が出ないこともある。

技術的な問題が起きることもある。

そもそも問いに答えがないこともある。

何か月取り組んだ結果、

「この仮説ではなかった」

とわかることだってあります。

つまり研究では、

一生懸命やったことと、きれいな結果が出ることが必ずしも比例しません。

これは研究のおもしろさでもあります。

でも、自分が評価される立場になると、とても苦しいところでもあります。

本当につらいのは「実験の失敗」だけ?

もし今、

「研究がうまくいかなくてつらい」

と思っているなら、少しだけ分解してみてください。

本当につらいのは何でしょうか。

実験そのものがうまくいかないこと?

原因を考えて、もう一度試してみたい気持ちは残っているでしょうか。

成果が出ないこと?

論文、学位、学会発表、評価。

結果が出ないことで、次に進めないことが怖いのでしょうか。

周りと比べてしまうこと?

同期や後輩が前へ進んでいるのを見ることが苦しいのでしょうか。

PIから評価されていない気がすること?

実験ではなく、

「能力がないと思われているのでは」

という不安が大きくなっているのかもしれません。

この先もずっと結果が出なかったら、という不安?

今日の実験ではなく、

「このまま博士号を取れる?」

「このまま研究者としてやっていける?」

「次のポジションは?」

という将来まで怖くなっているのかもしれません。

同じ「研究がつらい」でも、悩んでいる場所は人によって違います。

「研究に向いていない」と思ったとき、もう一つ考えてほしいこと

研究がうまくいかないと、

「私は研究に向いていない」

という結論を出したくなることがあります。

でも、その前に考えてみてほしいことがあります。

研究そのものが嫌になったのでしょうか。

それとも、

今、研究がうまくいっていないことが苦しいのでしょうか。

この二つは違います。

たとえば、

データについて考えることは好き。

新しい仮説を考えるのも好き。

論文を読むのも嫌いではない。

結果が出たときはやっぱり嬉しい。

でも、

成果が出ない。

比較される。

評価が怖い。

将来が見えない。

その状態に疲れている。

それなら、

「研究が嫌い」

と決めるのは、まだ早いかもしれません。

🌿 Marinのつぶやき

「研究者に向いているか」を、自分が一番うまくいっていない時期だけで決めなくてもいいと思います。

自信をなくしているときは、研究そのものへの気持ちと、今の苦しさが混ざってしまうことがあります。

逆に、「研究以外も見てみたい」と思っているなら

一方で、

研究がうまくいかないことをきっかけに、

「私はこの先も研究を続けたいんだろうか」

と考え始める人もいます。

それも、おかしなことではありません。

研究を辞めたいのか。

今の研究室を離れたいのか。

違う研究テーマなら続けたいのか。

企業へ行きたいのか。

研究以外の仕事も見てみたいのか。

まだわからない。

最初から答えが出ている必要はありません。

むしろ、

「研究に向いていないから辞める」

と急いで結論を出す前に、

自分が何に苦しんでいて、何なら続けたいのかを整理してみる方がいいと思います。

研究を離れることに対して「ここまで頑張ったのに」と感じている方は、こちらの記事でも詳しく書いています。

研究職を辞めたら負け?「ここまで頑張ったのに」と思ってしまう人へ

「研究しかしてこなかったから、他では通用しない」と思ってしまうなら

研究を続けるか迷い始めると、今度は別の不安が出てきます。

「じゃあ、研究以外で私に何ができるの?」

という不安です。

研究がうまくいっていない時期ほど、

自分には何の強みもないように感じることがあります。

でも、研究生活の中で身につけているのは、実験手技だけではありません。

問いを立てる。

仮説を考える。

情報を探す。

データを読む。

うまくいかない原因を切り分ける。

方法を変えて試す。

他の人に説明する。

答えがない状態でも考え続ける。

むしろ、

今日「なぜ細胞が死んだのかわからない」と悩みながら原因を一つずつ切り分けていること自体が、研究で培っている力の一つ

とも言えます。

研究経験を別の仕事でどう捉え直せるのかについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

「研究しかしてこなかった」私に何ができる?研究職から転職するときの強みの見つけ方

今日の実験結果だけで、自分のキャリアまで決めなくていい

細胞が死んだ。

データが出なかった。

また実験をやり直すことになった。

そんな日の帰り道に、

「私、研究者に向いていないのかな」

と思うことはあるかもしれません。

でも、

今日の実験結果と、

自分が研究者としてどうなのかと、

これからどんなキャリアを選ぶのかは、

全部同じ問題ではありません。

まずは分けて考えてみてください。

今回の実験で困っていること。

研究生活の中で苦しいこと。

自分自身について不安になっていること。

これからのキャリアについて迷っていること。

それぞれ違う問題かもしれません。

🌿 Marin Career Lab 公式LINE

「このままでいい?」から、自分らしいキャリアを考えるヒントや、新しい記事をLINEでもお届けしています。

公式LINEを友だち追加する

研究がうまくいかないとき、自分に聞いてみたい5つのこと

もし今、自信をなくしているなら、すぐに「研究を辞める・続ける」を決める必要はありません。

まず、この5つを考えてみてください。

1. 私は研究そのものが嫌になった?

それとも、結果が出ない今が苦しいのでしょうか。

2. 実験がうまくいった日は、今でも嬉しい?

もし嬉しいなら、研究への気持ちはまだ残っているのかもしれません。

3. 一番苦しいのは、結果が出ないこと?評価されないこと?周りとの比較?

「研究がつらい」の中身を分けてみます。

4. 「研究者に向いていない」と思う根拠は何?

一つの実験?

最近の数か月?

PIからの評価?

同期との比較?

それとも、本当に研究そのものへの興味がなくなってきたのでしょうか。

5. 研究者ではない自分を想像したとき、何が一番怖い?

研究ができなくなること?

専門性を失うこと?

博士号が無駄になること?

周りからどう思われるか?

それとも、

研究以外で自分に何ができるのかわからないこと?

この問いの答えによって、今考えるべきことも変わってきます。

「私はダメ」まで広がってしまったら

研究がうまくいかない。

これは、研究上の問題です。

でも、

「私は研究者としてダメ」

「博士なのに何もできない」

「自分には価値がない」

まで広がってしまうと、研究の問題と自分自身の評価が混ざっています。

そんなとき、一人で考え続けると、

何が実験の問題で、

何が環境の問題で、

何がキャリアへの不安で、

何が自分への自信のなさなのか、

わからなくなることがあります。

🌿 Marinのつぶやき

「研究を辞めたいのかも」と思っていたけれど、整理してみたら「研究は好き。でも今は自信をなくしている」と気づくこともあると思います。

逆に、研究が嫌いなのではなく、「研究以外の世界も見てみたい」と気づくこともある。

最初から答えを持っていなくていいんです。

「最近、実験がうまくいかなくて」からでも話していい

キャリア相談というと、

「転職したいです」

「研究職を辞めたいです」

のように、相談内容が決まってから行くものだと思うかもしれません。

でも、そこまで整理できていないこともあります。

「最近、実験がうまくいかない」

「周りと比べて自信がなくなった」

「研究者に向いていない気がする」

「でも、本当に研究を辞めたいのかはわからない」

その状態からでも大丈夫です。

Marin Careerでは、すぐに転職やキャリアチェンジを勧めるのではなく、

今何がつらいのか。

研究そのものをどう感じているのか。

自分の何に自信をなくしているのか。

これからどんな働き方や人生を望んでいるのか。

一つずつ整理しながら考えていきます。

実験の答えを出すためではなく、

「研究がうまくいかない」が、いつの間にか「私はダメ」に変わってしまった気持ちを、一度整理してみたい。

そんなところからでも、話しに来てもらえたらと思っています。

今の研究・キャリアのモヤモヤをMarinと整理する

コメント

タイトルとURLをコピーしました