餅は餅屋?
先日、とある日本初ベンチャーの責任者とお話する機会がありました。
私はこれまでの記事で、ボストンと日本の創薬エコシステムの違いを何度も取り扱っていますが、やはり違いはボスの人柄や日本人が感じる文化の違いに立脚すると思います。
日本人研究者はまだまだ、研究でお金を稼ぐことに抵抗感を感じているように思います。
ベンチャーの創成期から携わり、IPOすれば大きなキャピタルゲインになるのに、時間がなかったりラボの研究がうまくいってなかったり、そもそも会社の運営とかどうすればいいの〜ってなるので、会社なんか立ち上げている余裕がない。また、会社の経営に携わると研究にさける時間が減るので、スタッフさんたちがすごく不満に思う。
ボストンは、お互いのアカウンタビリティ(専門性)、線引きがはっきりしているので、お互いがどこまで関与すればいいのかわかっています。また、経営やマネタイズもある程度知識として備わっているので、ラボを運営しながら会社を運営することが可能。というか、運営を任せられるような、ある程度ビジネスと研究両方の知識を持っている人材が多い。
私はそんな、研究とビジネスを橋渡しして、イノベーションを多く創出できるようなCatalystになりたい。
Catalystは、専門用語で「触媒」という意味です。それがあることで、代謝反応を促進させるような存在。
創薬エコシステムの代謝(ベンチャーの創出)を促進させる触媒(研究→ビジネスを橋渡し)のような人材をが多く生まれれば、日本のお金廻りはもっと良くなる。
私は今後の人生で、自身が触媒として世界中を駆け巡りながらも、日本でこうした触媒人間が多く生まれる文化の醸成に貢献したい。
日本で産学連携の文化ができたのはごく最近
ベンチャーの代表の方からするに、日本で産学連携(いわゆる研究の社会実装)の父として最初に名を挙げたのは、東大の中村祐輔先生らしいです。
会えるな・・・笑
当時は中村先生の携われた産学連携プロジェクトで、最終的にキャピタルゲインを5億円稼いだみたいです。
でもその時は社会実装としての受け入れや考え方が広まってなかったみたいで、すごく不満の声が上がったらしいです。
近年になり、AMEDでは補助金や臨床研究の支援を行う代わりに、ベンチャーの創成を約束することになっているみたいです。お金あげるからベンチャー作って。って言う感じですかね。
それでも日本では、バイオベンチャーやスタートアップに対する前向きな考え方は広まってないように感じます。優秀な研究者や院生は、生まれたてで経済状況の不安定なベンチャーに就職するよりも、大きな会社にいくことを好むみたいですね。ボストンでは逆で、優秀な人ほどベンチャーに就職(もしくは立ち上げ)で自分の能力を最大限に発揮しています。
ボストンでVCになる若手人材はごく僅かで、MITやHarvardのピッチイベントで最優秀賞獲って、ビジネスも研究も徹底的に極めた方が行く先になっています。すげ〜って思います。
今後の課題としては、ビジネスに対するマインドのハードルを下げられるか、研究者がビジネスを起こすことに対するメリットをどう理解するかだと思いました。
優先順位は、人材→場所→お金
日本でもインキュベーション施設が増えてきて、開発研究の場がより身近に感じることができました。
しかし、今後どのように、普段忙しい開発研究者が、インキュベーション施設にアクセスして開発を回すことができるかが課題だと思います。
実態のないラボは、まず開発の場が必要なので。
エコシステムの発生場所ですね。
これから、どんどん代謝が生まれていくのが楽しみで仕方ありません。
こうしたイノベーションの創出や文化の醸成に携われることに大きな喜びと幸せを感じています。
日本はこれからもっともっと、素晴らしい基礎研究と創薬への橋渡しが進むと思います。
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